朝日新聞朝刊「経済気象台」

定年女子

 テレビドラマ「定年女子」(NHKBSプレミアム)を興味深く見ている。離婚後、子育てをしながらバリバリ働いていた管理職の女性。役職定年を言い渡され、仲良しの同級生4人との飲み会で主人公が泥酔する場面からドラマは始まった。

 定年を迎えるのは男性で、女性の定年が話題になることはほとんどなかった。男女雇用機会均等法は成立したが、ちっとも平等にならなかった日本。生き残ったわずかな管理職の女性たちが、今定年の時期を迎えている。

 私の周りの50歳前後の女性たちは、定年を待たずにフリーランスになったり、起業の準備をしたりしている。

 一人は地方銀行の管理職を辞め、ファイナンシャルプランナーに。その途端、外国為替や女性行員向けなどの研修の講師として招かれるようになった。

 一人は看護師からヨガ講師に、一人はマスコミから、イベントを企画などするプランナーに転身した。組織での仕事を「卒業」し、切り替えている。

 自分がやれると思える時期に方向転換して、新しいことを始めるのも、これからの生き方かもしれない。

 中小企業白書によると、起業した女性のうち50歳以上の割合は年々増えて35・3%(2012年)、60歳以上は20・3%。シニアの起業意欲に驚くばかりだ。

 低成長、低金利、年金の財源問題などから、定年後にのんびり過ごす時代ではなくなる。それぞれが、長く働くことになるのではないだろうか。長く働くなら、自分のやりたいことを早くやったほうがいいと思う。やりたい仕事のスキルも身につく。

 ドラマでは、第2話で主人公と、友人1人が退職に踏み出した。これからの展開が楽しみだ。

 (福姫)

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