朝日新聞朝刊「経済気象台」

女性活躍、地方都市から

 女性の活躍などあまり注目されていなかった2年前、地方都市である組織ができた。

 「女性の大活躍推進福岡県会議」が、それ。地元経済団体のトップを中心に討議され、経営者や女性管理職の有志、大学関係者、行政も加わり、スタートした。方針は三つ。一つは、企業トップが自社の女性管理職登用目標値を宣言すること。二つ目は女性管理職のネットワーク化、三つ目が、男女ともに活躍できる環境づくりだ。

 当初、企業は女性管理職の目標値を公表することにかなりの抵抗があったものの、いまは福岡県内の160を超える企業や自治体が宣言をしている。女性活躍推進の部署の設置や、管理職候補の女性を集めての研修、管理職の女性を社外から迎えるなど、さまざまな変化が起きているという。その後、佐賀県や広島県にも飛び火し、全国に同じような取り組みが広がる。

 女性管理職ネットワークも、大きな存在感がある。女性経営者の集まりはよくあるが、女性管理職のものは少ない。くまなく地元企業から管理職が集まり、質の高い議論が行われているという。

 女性の管理職が育たない理由に、よく「ロールモデルがいない」ことが挙げられる。地域ごとにこうしたネットワークができれば、互いに刺激を受け、悩みも相談できる。

 政府が閣議決定した女性活躍推進法案では、従業員301人以上の企業に女性活躍の計画策定と公表が義務づけられる予定だ。地方都市には中小企業が多く、トップの意識次第でドラスティックに変わる可能性を秘めている。福岡方式の特徴は、メンバーの自主運営であること。行政はお膳立てではなく、仲間となることが肝要だ。(福姫)

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