女性活躍、地域活動から
掲載日:2016年07月02日
「昼間にこまごまと地域のために尽くす妻と、会合や宴席に出席し物事を決める夫。地域活動は夫婦セットで成り立っている」。ある首長から聞いた話だが、全国どこも似たり寄ったりだろう。役割分担と言えば聞こえはいいが、「決めるのは男性」という意識の表れだろう。
全国の自治会長の女性率は4・9%。同じく地域の顔役であるPTA活動もトップは圧倒的に男性だ。小中学校のPTA会長の女性率は12・5%にとどまる。地域活動に「女性活躍」のメスはなかなか入らない。
3年前、「女性活躍推進」の大号令が始まった。政権トップの「上場企業の役員の1人は女性を」というメッセージや、女性活躍推進法の施行で、女性役員や女性管理職比率は上昇の兆しが見える。しかし、真に女性が活躍する社会をつくるためには、経済だけでなく、政治分野の女性が不可欠だ。
ただ、日本では議員の候補者・議席の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」がなかなか進まない。それなら、地域活動から見直してはどうか。制度にまでしなくとも「自治会で会長と副会長を違う性に」「PTA会長はできるだけ女性を」と、首長がメッセージを出す。地域で女性活躍が進み、女性の政治参画も進むのではないだろうか。PTA会長を経験した後、地方議員になった女性は「PTA活動によって社会へ目を開かせられた」。会長という立場だったからこそ、政治家への道が開けた。
「保育園落ちた日本死ね」というつぶやきがソーシャルメディアで拡散され社会問題になった。教育や福祉に関心の高い女性政治家が多ければ、予算配分は違ってくるのではないか。(福姫)
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