「#MeToo」を生かす
掲載日:2018年02月10日
インターネットで広がっている「#MeToo(私も)」。米国の映画界での告発から、性暴力やセクハラをなくそうという世界的なうねりになっている。
私のまわりの女性に聞くと、当たり前のように出てくる若いころの経験。性的な言葉を浴びせられたりするのは序の口だ。ある女性は、給湯室で後ろから抱きすくめられ体を触られた。また、ある女性の会社では、宴会時に女性は胴上げされる慣例があり、絶対にスカートははいていけなかったという。
ほとんどの女性は抗議できないできた。「柳のようにしなって切り抜けてきた」と表現する人もいる。
はっきりもの申すとまず、関係は悪くなる。私が参加した会合で、男性が性的な言葉を連発したことがあった。後で「やめてほしい」と抗議したが、その後、男性は私を無視するようになった。
大きなビジネスになりそうな話が、このようなことでダメになったらお互い損だ。
セクハラにあい、だまって会社を辞めた女性もいる。有用な人材が去ることは、企業にとっても痛手だ。本格的な人手不足が続くなか、中小企業にはより深刻だろう。
そもそも男性が気づいていないのではないか。日本は男性が管理職など強い立場にある場合がまだまだ多い。権威をかさに女性を従属させてはいないか。
解決策は簡単には見つからないが、このままでいいわけはない。個人では声を上げにくいので、日本でも著名人に立ち上がってもらうのも方法の一つだ。影響力の大きい安室奈美恵さんはどうだろう。印象深い言葉と映像で訴えてもらったら、世の中が変わるきっかけになるのではないか。(福姫)
※この記事は朝日新聞朝刊「経済気象台」に掲載された記事を朝日新聞社の承諾のもと再掲したものです(承諾番号:20-2620)。この記事について、朝日新聞社に無断で転載することを禁じます。