「非婚で出産」も選択肢に=訂正・おわびあり
掲載日:2016年02月05日
いまや好き合った男女が一緒に暮らすのは普通のこと。長くつきあうと、結婚のきっかけをなかなかつかめないこともある。
その大きなきっかけになる一つに、妊娠があるだろう。「できちゃった婚」と言われるが、最近では「おめでた婚」とも言うらしい。その割合は、結婚全体の3割とされ、出産後に式を挙げる「パパママ婚」も増えているという。
一方で、欧米先進国に目を転じれば、出産と結婚は直結しない。婚外子の割合をみると、1980年に11・4%だったフランスは2008年に52・6%。スウェーデンはさらに多く55%近くに達し、デンマーク、英国、オランダ、米国も4割を超えた。
かたや日本は14年でも2・3%。背景には、結婚しなければ子どもを産みにくい慣習が根強くある。事実婚歴15年の友人が「子どものPTAの役員をしている夫と名字が違うから、いまも『ワケあり?』と聞かれる」と嘆いていた。
このままでは、少子化や人口の減少は避けられない。ならば、思い切った策を打ち出すのも一考だ。選択的夫婦別姓を認めるのは当然として、戸籍記載面での婚外子への差別をなくす。非婚カップルにも、法律婚と同等の保障をする。教育費無料など、子育ての社会化をすすめる。「伝統的な家族」という幻想や、結婚と出産を結びつける考え方に縛られなければ、もっと若いうちに子どもを産もうと考える人は増えると思う。
大学に併設された保育所に学生の子どもが通い、子どものいる新卒社員が入社してくる。そんなことも当たり前になる時代はくるだろうか。多様な価値観を受け入れ、見守る寛容さが必要と感じる。
(福姫)
※この記事は朝日新聞朝刊「経済気象台」に掲載された記事を朝日新聞社の承諾のもと再掲したものです(承諾番号:20-2620)。この記事について、朝日新聞社に無断で転載することを禁じます。